
冬のシーズンに行動を共にしていた仲間と別れ一人身になった。つまり僕のトランピングの始まりだ。トランピングとはトレッキングのこと。ここNZではこう呼ぶ。なぜトランプなのか、そのうち調べたい。
家から20分も走ればトラックのスタートに車をつけられる。今日は日帰りハイキング、目的は新たに調達したゲートルとステッキのテスト。この国はシダ類がとても豊富に生育していて、軽く散策するだけでも靴の中にいろいろな土産ものが届いている。ゲートルは快適に歩きたい人には重宝そうに見えたので購入に至った。もう一つのステッキは主目的は自分の膝をかばうために用意したがこの後その実力を垣間見ることになった。
9:13 駐車場発。急な登りが続く。ペース配分に失敗し汗が吹きだしてしまった。40分で稜線にたどり着く。Duke Knob(740m)はブッシュの中でまったく視界は開けない。せっかく登ったのに沢(
Bowyers
Stream )に下りて川原を上流にむかって行く。何度となく枝沢をトラバースするものの、くるぶしまで浸かるような渡河はなく靴の中は快適。一箇所本流を横断する場所があったが飛び石でクリアーできた。
スタートから1時間半、大きな岩が削られオーバーハングになった川原を歩いていると滝が上から降ってきていた。期せずして裏見の滝、シャワーを浴びたい衝動をぐっと我慢してオレンジをかじる。沢から離れ稜線に立つと豪快な風に迎えられた。目の前にはマウントウィンタースローを主峰とするウィンタースローレンジ(
Winterslow
Range )が連なっている。
11:25 ピナクルスハット(
Pnnacles
Hut )に到着。ピナクル、と名前がつくようにボルダリングができそうな尖塔の形をした岩がハットから見える。ランチに持ってきたサンドイッチを一つ食べて“細く長く”の燃料補給をする。30分小屋の中で休んで出発。ゲートルは快調、なじんできた。しばらく登りが続き休みたくなってきた頃に視界が開けウィンタースローレンジの奥にヘリスキーの催行されるアロ−スミスレンジ(
Allow Smith Range )がはっきり見える。雪はだいぶ解けて山肌が見えるがまだ滑れそうだ。
ここまで荷物として担いでいたステッキをつかってみる。それがすごい、とても楽に足を運べる。手の力も使うのだから当たり前なのだが、そのラクチンさは想像を越えていた。特に平地、下りのスピードはかなり上げられる。
13時過ぎにSaddle(1170m)を通過、調子がいいので前回反対側から登ったときに休んだウールシェッドクリークハット(
Woolshed
Creek Hut )まで足を伸ばそうと思った。30分ほど下り気味の道を進んでいくと幅30cmほどの小さな枝道が河のほうへ下りていっている。地図によればモーガン沢のウォーターケイブ(
Morgan
Streem, Water Caves )の道らしい。ハットへの道は単調はジャリ道なのでここで切り上げてケイブに寄り道することにする。
直径5〜10mほどの大きな岩が沢の上に積み重なってその隙間を縫って沢水が流れ、人も歩いていける。落石の堆積なのか、その昔氷河で運ばれた岩なのか知らないがこの形に落ち着いてから長い時間が経っているようだ。オーバーハングした岩の下には10m以上の木が、せり出した岩の天井に届きそうなまでに育っている。
もう一つのサンドイッチを食べて帰路につく。ところが帰り道の方角から勢いをつけてガスが上がってきている。Saddleまで戻ったときには真っ白なガスに包まれてしまった。雨は降ってこないがガスの中なので全身もれなく水滴がつき、トラック場に立つ標識も二つ目は見えない。
15:35 ピナクルズハットに戻り、また濡れるのはわかっているが一通り水滴を拭う。今日の宿泊客はいないのだろうか、誰もいない。
15:55 密度を増したガスの中に突入し1時間半で
Duke
knob を通過、行きとは違う稜線コース(といっても木が多く、晴れていても視界は開けない)を通り、駐車場手前で5mほどの渡河セクションに出る。普通はバシャバシャと河の中を歩くのだが、ステッキをつかって支点にすればピンポイントの飛び石をつかって濡れずに通過できてしまい、18時前に車にタッチした。
ゲートルも自分の靴にマッチし、ステッキは予想以上に“使える”。これから始まるトランピングのハイシーズンがますます楽しみになってきた。