TOKYO 8831km と書かれています。寒い。ならば赤道に近づこう
(
Cape Reinga Coastal Walkway )

日  程 2002.5.29 - 6.1
メンバー 亀山(単独・報告)
概  略 NZ本土最北端といわれるケープ・レインガ。山小屋の無いトラックにテントを持ち込んで寒さをしのぎます。雨に助けられた4日間でした。ー地図は後日ー

さて、北島とはいえ寒くなってきた。冬を前にスコールのようなにわか雨が続いて一日中虹が出ているような日が続いている。もうどれを取ってもトランピング向き、といえるものは見つけられない。それでもまだ歩きたいところが残っている。北島の北の北、Far North といわれる所には長い砂浜があり最北端に繋がっていく。その全てを歩くことも出来るがツアーバスが自分の横を通りすぎていくのは頂けない。またその砂浜を走る場合、自家用車では保険が適用されないというのでツアーに参加して途中下車、数日後に拾ってもらうことにした。この方法はメジャーなはずだが時期も時期のため客が居なかったら他の会社に頼むから、との条件で乗りこむことになった。最も暖かいはずの最北端、行ってみましょう、テントを持って!

最初に言ってしまおう。ロンリープラネット社のトランピング本にはEasyのランク付けがされているトラックだが僕には手応えのあるコースだった。

5月29日

定刻どおり9時にツアーは始まった。干潮が午後なのでカイタイア( Kaitaia )から往きは内陸を走る国道で北に向かう。90マイルビーチ( 90 mile beach )を走るのは帰り道の楽しみになった。

12:00 テ・パキ( Te Paki )で降りる。まずジャリ道を4キロ歩いてトラックスタートとなる。明らかにスコールになる真っ黒い雲がグングン近づいてくるので合羽を着るが着終わる前に一撃を食らう。道はマヌカとブラックトゥリーファーン( Black tree farn )が目立つ森の中を通り、終点にはトイレがありテパキ沢( Te Paki Stream )が砂丘の中を流れていく。スタートしたばかりなので靴を水につけすぎないようにと脇の草むらの中に入ったが逆に湿地帯で歩きにくい。雨の混じった突風が正面から叩きつけてくるのでまっすぐ歩くのも容易ではない。砂丘を登りその陰を使って海岸線に近づこうとした。止んだかと思うと次の黒い雲が頭上に走りこんできて真横から濡らしにかかる。

タコ。まだ新鮮さが残る。13:20 一連の砂丘帯を越え海岸線を確認できたがまだまだかなり遠い。砂丘の中にも湿地帯があり思い通りのルートは取れないので、やはり教科書どおりにテパキ沢を河口まで下りていき海岸線を素直に北上した方が良い選択かもしれない。ただこの天気では今以上にずぶ濡れになると思うが。それから30分歩いて海岸線に出た。波が風に後押しされて白い泡を吹きながら砂浜を駆けあがってくる。蛸まで打ち上げられていた。「食べてみたい」がまだ初日なのでお腹に気を使う。

14:25 砂浜が終わり海に突き出した崖を登る階段のたもとに着く。ここで大きな間違いをしてしまう。地図を4つ折りにして持っていた。丁度その崖スコットポイント( Scott Point )が折り目にあり砂浜が続いていると思い次の半島ケープマリア・バン・ディエメン( Cape Maria van Diemen )に居ると思ってしまった。「おっ、かなり早いなぁ。初日のテントサイトはこの奥じゃないか、日没に充分間に合うな」。そして先端にあるはずの灯台に続く道を探していた。「これだけはっきり紹介されているのなら分岐点に標識があるはずだけどなぁ」と思いながらも獣道を入ったりしていた。なにせまだ明るいと思っていたから。折り目にスコットポイントを見つけあたふたとトワイライトビーチ( Twilight Beach )に下り立ったときには4時になっていた。

さて、そこには細いが沢が流れている。キャンプの水源にはなる。ただ明日のことを考えるとこの浜は通過しておきたい。今日の干潮は夕方5時なので波を気にせず歩ける。ただし当初予定していたキャンプ地まではケープマリア・バン・ディエメンへの寄り道を考えたら夜が来てしまう。そこはやっぱり明るくないと。砂浜の反対側に水があるかは分らないのでここで汲んで歩き出した。

ウソ、じゃないです。本当に純粋な水の色。16:42 トワイライトビーチを終え、こんどこそケープマリア・バン・ディエメンへ続く半島への登り口に着く。沢も流れていて杞憂に終わったかと思ったが何かの強烈な腐敗臭がして通過してしまった。ケープマリア・バン・ディエメンへの分岐点までの間でキャンプ適地を探そう。太陽はオレンジ色を増して夜は近い。水1リットルで夜、朝をこなすことは出来る、が水分補給は不充分だ。崖の上ではますます水からは遠ざかってしまうだろう。どうしたものか。幅1m程のトラックを水溜まりが塞いでいた。いつも通りストックを支点にして通りすぎていったが「あの水は今さっきのスコールでは?」と歩くのを止めた。かなりいい色をしているが今晩は使えるだろう。3分間煮沸、あとはお腹に託そう。とテントをマヌカが這う草原の中に立てることにした。

風の通り道を避けたつもりだが突風がテントを地面から引き離そうとする。自分自身を重しにしていないと本当にどこかへ旅立ってしまいそうな強い西風が吹きつづける。ひしゃげ、テントの形を保ってはいない。購入ウン年目にして耐風テストの実施となった。あまりにバタツキ音が激しいので耳栓をして寝ることにした。

5月30日

どうやらテントの中に居る。テントのバタツキ音も音量を下げている。気まぐれの小候状態かもしれないので朝日が上がる前から活動を始めた。水筒の水の色を見てかなり感激してしまう。紅茶を煮出したような茶色い色をしているが無添加の水の色である。下痢のお誘いはまだ来ていない。

8:10 空には青いパッチの方が多い。期待して歩き出す。20分でケープマリア・バン・ディエメンへの分岐につく。古い地図には周回コースが描かれているが今はピストンコースになっているようだ。後で解るが周回コースは干潮時のみ通行可能コースである。ザックを置いて岬を目指す。二つの島が砂漠で繋がったような半島で歩いている両サイド、北と南に砂浜が続いている。草つきを登りきると灯台に到着、丁度30分経っていた。砂浜に残る足跡は僕の一本だけ、そういえばトラックで今だ誰にも会っていない。

ケープマリア・バン・ディエメンから歩いてきたほうを見る。

10:00 半島を横切りテ・ウェラヒ・ビーチ( Te Werahi Beach )に下りる。砂浜の始まりには川( Te Werahi Stream )の流れ込みがある。本来一泊目と考えていた場所だ。豊富な水量は文句無しにキャンプ好適地だ。河口部分を膝まで入って渡床する。

10:50 砂浜が終わり遂に最北端といわれるケープレインガへ向けての岩場の始まりだ。途中昨日のような真っ黒な雲の塊が近づいてきたので木の下に非難したが、丁度枝の下に半径2m程の空間が出来ていて屋根付きのテントサイトにいいのではないだろうか。

左がタズマン海、右が太平洋。まっすぐ進めば多分ニッポン。11:15 ケープレインガに立つ。ツアーバスが到着する前で観光客はまだ数人しかいない。先端には世界各都市への方角と距離の書かれたポールが立っているがTOKYOがシドニーに次いで近い都市だった。沖にはタズマン海と太平洋が混じりあう場所があり海底が浅くなっていてそこだけに白波がたっている。

12:15 いくつかのツアーバスが到着しだしたのでザックを担ぎなおす。自分へのお土産として最北端スタンプが押されるという郵便ポストに木の板のはがきを投函した。

サンディベイ( Sandy Bay )を覗きこみながらトポツポツベイ( Topotupotu Bay )に向けて崖の上を歩いていくが、ここが今回のトラックで最も急な登りだった。しかし距離は短いのでしんどくなる頃には角度は緩くなってくる。目線の向こうにはきれいな弧を描いたトポツポツベイの砂浜が見えツアーバスが止まっている。このトラックにハットが無い訳が解かった気がした。

13:30 トポツポツベイにあるキャンプ場の水道からは無色透明な水が出ているのでお湯つくりを始める。おそらく今夜も稜線上でのキャンプになるので宿泊用の水も調達する。なぜなら海岸線には冬の今でもサンドフライがいるからである。

14:10 キャンプ場を離れダーキーズリッジ( Darkies Ridge )へ。地図ではすぐに川から離れ稜線に登りだすように思えたがいつまでも川沿いの轍の残るトラックが続くので最後に見た標識まで戻って確認する。結果的には合っていたが15分のタイムロスとなった。

14:50 山の稜線に乗ったがここからが長かった。ダーキーズリッジは斜度はきつくないものの長い上りと下りを繰り返す。そしてそのトラックが滑りやすい。粘土質の赤土は乾きだす頃には次ぎのスコールを受け水分を供給されてしまう。  
体温がオーバーヒートしそうになったときにスコールの雲が近づいた。ザックをマヌカの下に潜りこませ自分はタオルを持ってスタンバイ、いつも隠れるばかりでは悔しいのでシャワータイムにする。冷えすぎる前にスコールは通りすぎていった。かなりいける。

きれいな半弧が陸に入り込んでいた。16:50 太陽も傾げだしてきた頃T字路にぶつかった。当初考えていたテントサイトは好展望と書かれたテパキ山( Te Paki; 310m )山頂だったがここから見える山頂は森に覆われている。明日の朝の散歩に回してこのT字路にテントを立てた。ここからもスピリッツベイ( Spirits Bay )の弓なりの砂浜が見え夕焼け色を反射させていた。

夜になると昨晩のような風は無くなったものの雨が断続的に続いた。この雨水を利用しない手は無いとフライシートにできた雨の通り道の下にコッヘルを置いてみた。

5月31日

空は曇天だが雨は上がっている。さて、昨日の努力は?とコッヘルを覗くと2つのコッヘルともほぼ満水、すばらしい!贅沢な水分の豊富な朝食を取ることが出来た。

7:37 テントはそのままにして散歩に出る。濡れているし、もしも散歩中にスコールが来ても大して変わらないと判断した。20分でテパキ山の山頂テパキ・トリグ( Te Paki Trig )につくが展望台になっているわけでなく当然木々の間から遠くを見渡せる、というポイント。敢えて行く必要はない。トリグとは日本で言えば三角点のことで土地調査のマーカーが建てられている。本線に戻りもう一つ散歩に行く。カウリ・ブッシュ( Kauri Bush )の標識で曲がり谷へ落ちていく。沢の音が聞こえだすとカウリの森の中に入ってきた。ただしどれも若い。太いものでも直径50cmあるぐらいでこの滑りやすい斜面を神経を使って下りていくような場所でもない。ここに足を向けるのならコロマンデル半島の309道路にあるカウリ・グローブ( Kauri Grove )をお勧めしたい。

9:20 少々感動のうすい散歩からテントに戻ってきて撤収作業を始める。これから満潮なので急いでも調子悪いのだ。スピリッツベイの始まりパンドラ( Pandora )の砂浜を踏んだのはテントサイトから30分後だった。短い砂浜の奥に岩場がありそれを抜けると長いスピリッツベイの砂浜が続いている。丁度満潮もしくは過ぎたばかりなのでその岩場の部分にいまだに波が打ち寄せ白い飛沫を豪快に挙げていた。砂浜に木の棒を立ててから潮の満ち引きに探りをいれようとお茶を入れる。

11:30 潮は引きつつある、とみて出発。西側から見えていた岩場は波の合間をぬって通過に成功したがその裏側を覗くと深く切れ落ちていた。まだなみなみと海水が入りこんでる。ここの通過は干潮の前後一時間ぐらいしか安全域にならないのではないか、と思えるほど水深がある。ギブアップして山の上に続く満潮時迂回ルートに歩を進めた。

12:05 高巻きコースを終えて海抜0メートルに下りてきたがそこに流れこむワイタホラ川( Watahora Stream )の河口は広く深い。サインボードには「干潮時のみ通行可、水深深し( Deep Crossing )」と書かれている。流れは穏やかなので場所選びに時間を使う。体長30cm以上はあるであろう縦にストライプの入った魚がブイブイ泳いでいる。ウエストバックはザックの上部に入れ防水対策を確認して進水。ザックの腰ベルトまでしっかりと浸かるが最深部はすぐに通過してことなきを得た。さぁ、あとはこのスピリットベイの砂浜の終わりまで行けば終わりである。

が、簡単には歩かせてくれない砂浜だった。砂の締りが緩く埋まり気味になり前へ進む力を吸い取られてしまう。浜を蛇行し硬い部分を探しながら歩くが長くは続かない。打ち寄せる波も足が長く何度か波に行く手を阻まれてしまう。前後を見ながらスピリットベイの砂浜の半分は歩いたかな、と思ったところで砂浜の一本内側に走る轍コースに入った。まぁこれでこの浜も歩いたということで。。。轍コースにはトラックを示すポールマークが続いていたので本来のコースはこちらかもしれない。これも後で確認したことだが満潮時迂回ルートだった。

13:52 ようやくトラックの終点カポワイルア( Kapowairua )のキャンプ場に到着。砂浜通過に1時間40分かかった。予想よりも早かった。

14:45 明日のツアーバスとの合流は午前11時、ここから16km先のワイティキ・ランディング( Waitiki Landing )となっておりここで夜をあかすと朝がきつい。少しでも近づいておこうとジャリ道を歩き出した。宿のオーナーにはこの道でヒッチハイクをするのはとても簡単だ、といわれていたのでワイティキ・ランディングのキャンプ場でのんびり朝寝坊でもしようかと考えていた。し、か、し、人が居ない、車が居ない、のである。キャンプ場には釣り師が2組、それぞれここに連泊するという。キャンプ場に入ってきた車はシートに全員乗っている。唯一の望み、老夫婦のパジェロは親指に反応してくれなかった。また雨が降りだす。この雨雲はスコールではなく空を厚く覆っている。ヒッチさせてくれない人を恨むのはお門違いだがたった一台なので記憶に残ってしまう。ぶつぶつ言いながら雨の中ジャリ道を歩いていった。

2時間かからずにテ・ハプア( Te Hapua )との分岐点に着いた。ここまで10kmある。なかなかいいペースで歩いたものだ。この先のウォーキングトラックの中でテントを張ろうと数キロ頑張りブッシュキャンプで最後の夜を過ごした。雨は降り続き水は外に出ることなく入手できる快適なテント生活だった。

砂丘でソリ!かなりスピードが出ます。6月1日

2度寝をして7時半から動き出し撤収する。今回の3泊は全て水源から離れたところになったがこの地方の天気、とりわけ冬の天候にいい思いをさせてもらった。ワイティキ・ランディングには30分で着いてバスを待ち、11:30本日のお客さんと一緒にツアー御一行様の一人となった。